確定申告の時期が近づくと、SNSやネット上では様々な噂や都市伝説が飛び交います。
しかし、一流のビジネスパーソンであれば、こうした根拠のない情報に惑わされず、正確な税務知識を身につけておくべきです。
本稿では、税理士の大河内薫 氏が指摘する、多くの人が陥りがちな「確定申告の勘違い」を整理し、実務における正しいステップを解説します。
まず、最も基本的な誤解は、確定申告を「還付金をもらって得をするためのイベント」と捉えることです。
確定申告は所得税法に基づいた法的義務であり、たとえ還付がなくても、申告義務がある人は必ず行わなければなりません。
例えば、2箇所以上から給与を得ている場合などは、損得に関わらず申告が必須となります。
自身の状況が義務に該当するかどうかを正しく判断することが、コンプライアンス遵守の第一歩です。
次に、多くのフリーランスが陥る罠が「支払調書」への過度な依存です。
支払調書は、会社側が税務署に提出する書類であり、個人への発行義務は法律上存在しません。
そのため、手元の支払調書だけを合算して売上を計算すると、書類が届かなかった案件の売上が漏れ、意図せず脱税行為に及ぶリスクがあります。
売上管理は、自身の通帳や発行した請求書をベースに、自ら集計を行うのが鉄則です。

確定申告の実務においては、以下の手順を正確に踏むことが推奨されます。
①まず、自身の銀行口座の入金履歴と発行済みの請求書を照らし合わせ、正確な年間売上高を算出します。
②次に、経費の領収書やレシートを整理し、集計します。
③確定申告書を作成し、期限内に提出します。
もし提出後に間違いに気づいた場合でも、期限内であれば最後に提出したものが有効な書類として受理されるため、速やかに修正して再提出しましょう。
領収書やレシートの扱いについても、依然として誤解が見られます。
確定申告時にこれらを税務署へ提出する必要はなく、電子申告においても添付は不要です。
しかし、提出不要だからといって破棄して良いわけではありません。
確定申告書が受理されたことは、決して「内容が正しいと税務署から承認された」ことを意味しないからです。
税務署が受理時に確認するのは、住所や氏名、フォーマットの不備といった形式面のみです。
数字の妥当性や内容の真偽は、受理の瞬間にはチェックされていません!
本当の検証は、後日行われる可能性のある「税務調査」においてなされます。
この時、経費の正当性を証明する唯一の手段が、保管していた領収書や請求書なのです。

税務調査で「この経費は何ですか?」と問われた際、即座に説明できるよう、証憑書類は厳重に管理・保存しておかなければなりません。
青色申告を選択している場合は、これらの書類の保存が義務付けられており、不備があれば青色申告の承認が取り消されるリスクさえあります。
受理されたからと安心せず、5年から7年の保存期間を遵守しましょう。
また、住民税に関する「田舎の方が安い(または高い)」という噂も根強いですが、これも事実ではありません。
個人の住民税率は、自治体に関わらず原則として全国一律10%です!
一部の自治体で微細な減税が行われているケースはありますが、基本的にはどこに住んでいても変わらないと考えて差し支えありません。
なぜこのような誤解が生じるのでしょうか?その原因は、地域によって大きく金額が異なる「国民健康保険料」にあると考えられます。
自治体によって保険料が2倍近く異なるケースがあるため、その負担感の差が住民税の差として誤認されているのでしょう。
混同しないよう注意が必要です。
税金の知識を正しくアップデートすることは、自身の資産と社会的信用を守るための強力な盾となります。
大河内薫 氏が提唱するように、正しいルールを理解し、誠実な申告を心がけることが、健全なビジネス運営の基盤となります。
不明な点は専門家や信頼できる情報源に当たり、正確な申告を目指しましょう。


