親から多額の資金を受け取る際、多くの人が懸念するのが「贈与税」の負担です。
年間110万円の非課税枠を超えると、累進課税によって多額の税金が課されます。
しかし、税理士の菅原由一 (すがわら・ゆういち) 氏が提唱する「貸し付けスキーム」を活用すれば、合法的にこの問題を解決できる可能性があります。
まず理解すべきは、税務署の視点です。
税務署は、過去の資金移動が「贈与」か「貸し付け」かを、より高い税収が見込める方で解釈しようとします。
例えば、8年前に親から1000万円を受け取っていた場合、贈与とみなされれば約210万円の贈与税が課されますが、貸し付けであれば相続財産として扱われます。
この際、相続税の基礎控除額以下であれば、税金は発生しません。
具体的な実践手順は以下の通りです。

まず、①「金銭消費貸借契約書(借用書)」を親子間で締結し、貸し付けである事実を明確にします。
次に、②通帳に記録が残る形で資金を移動させます。
そして、③「出世払い」などの条件でも構わないので、返済の意思があることを示しておきます。
最も重要なのは、④親が亡くなった際の遺産分割協議で、借主である子がその「貸付金債権」を相続することです。
自分の借金を自分で相続することで、債権と債務が同一人物に帰属し、法的に消滅する「混同」の状態を作り出すのです。
ただし、この手法には大前提があります。
それは、決して「仮装隠蔽 (かそういんぺい)」であってはならないということです。

最初から返すつもりがないのに貸し付けを装うのは脱税行為であり、税務調査で否認されるリスクがあります。
あくまで「返済の意思がある貸し付け」として、適切な契約書を作成しておくことが不可欠です。
また、親の資産が基礎控除を大きく超える場合は、貸し付け金が相続税の対象となるため、逆に増税になる可能性もあります。
事前にシミュレーションを行い、自身のケースが基礎控除内に収まるかを確認することが成功の鍵となります。
このスキームの最大の利点は、親が元気なうちにまとまった資金を子へ移動させ、子の事業資金や住宅購入などに充てられる点にあります。
110万円という枠に捉われず、資産の有効活用を早期に実現できる、極めて実効性の高い戦略と言えるでしょう。
SMG税理士事務所 (SMG Tax Accountant Office) の菅原氏が説くように、税務署の論理を逆手に取り、法的に正しい手続きを踏むことが、資産を守る最善の防衛策となります。


