かつてタワー投資顧問で運用部長を務め、2005年には高額納税者1位に輝いた伝説の投資家、清原達郎氏。
個人資産900億円を超える彼が、今年に入って日本株の大半を売却したというニュースが市場を揺らしている。
清原氏は、現在の相場レベルが高すぎると指摘しており、就活(終活)中の身としてはこれ以上のリスクは取れないと語っている。
よほどの暴落がない限り、再び日本株を買うことはないという強い意志を表明したのだ。
このニュースを聞いて不安になる人は多いのではないだろうか?
しかし、このニュースを聞いて「自分も売るべきか」と即断する必要はない。
特にオルカン(全世界株式)に投資している場合、日本株の比率はわずか5%程度であり、投資方針を変更する理由にはならないからだ。
インデックス投資の真髄は、著名な投資家やインフルエンサーの個人的な意見に左右されないことにある。
市場全体の成長に期待する手法である以上、一部のプロの動向でポートフォリオを崩すのは本末転倒と言わざるを得ない。
日経平均やTOPIXなどの国内インデックスに投資している人も同様である。

資本主義の構造上、短期的には下落があっても、長期的には成長が組み込まれているため、15年や20年といった長い時間軸で捉えるべきだろう。
一方で、個別株投資をしている人は自問自答が必要だ。
他人の意見で不安になるのであれば、それはリスク許容度を超えているか、経験・知識が不足している可能性が高い。
そのような場合は、より管理の容易なインデックスへの移行を検討すべきである。
なぜなら、企業には常に倒産のリスクがつきまとうからだ。
インデックス投資のように「放置すれば右肩上がり」というストーリーが必ずしも通用しないシビアな世界であることを、改めて認識しなければならない。
清原氏の発言で最も注目すべき点は、彼が「年配者は売るべきだ」と述べていることにある。
30歳の若者と、出口戦略を考える70代では、暴落後の回復を待てる時間が根本的に異なるのである。
リスク強度は年齢とともに変化するのだ。

年齢を重ねるほどリスク許容度は下がるため、資産に占める株式の割合を調整していくのは資産運用の定石と言える。
清原氏の決断は、あくまで彼のライフステージに基づいた合理的な選択に過ぎない。
情報の断片だけを切り取って一喜一憂するのは、マネーリテラシーが不十分な証拠だ。
発信者がどのような立場で、どのような属性の人に向けて語っているのかを冷静に分析する癖をつけるべきである。
立場が変われば、正解も変わる。
引退間近の伝説的プロの動きを、資産形成期の現役世代がそのまま模倣するのは、戦略的なミスにつながりかねない。
自分にとっての正解は何かを常に考えるべきだ。
結論として、インデックス投資家は淡々とバイ・アンド・ホールドを継続すべきである。
周囲の雑音に惑わされず、自分にとっての最適解を追求することこそが、長期的な資産形成の成功への近道となるだろう。


