直近の米国株式市場は、トランプ政権による関税政策と貿易戦争の激化を背景に、主要指数が一時的に弱気相場入り(直近高値から20%以上の下落)するなど、パニック的な売りが広がりました。
投資家の不安心理を示すVIX指数は一時60.13まで急騰しましたが、関税発動までに90日間の猶予が設けられたことや、各国の反応が出揃ったことで、悪材料は概ね価格に織り込まれたと判断できます。
歴史的なアノマリーでは選挙翌年の6月は軟調になりやすい傾向がありますが、今回の急落による値幅調整が完了したことを踏まえると、4月を起点とした反発局面は7月末頃まで継続すると予測されます。
ただし、これは本格的な上昇相場への回帰ではなく、あくまで不安定で勢いの乏しい戻り歩調となる点に注意が必要です。
真のリスクは、関税発動が現実味を帯びる秋以降に訪れます。
現在は関税引き上げ前の「駆け込み輸入」によって企業の在庫が積み上がっていますが、在庫が枯渇した後は値上げが不可避となり、インフレが再燃する恐れがあります。
一方で、個人消費の冷え込みは着実に進んでおり、ミシガン大学消費者信頼感指数(University of Michigan Consumer Sentiment Index)は50.8と、過去30年で最低水準に迫る極めて低い数字を記録しています。

FRB(連邦準備制度理事会)の動向も懸念材料です。
市場はCME FedWatch(CMEフェドウォッチ)において6月以降の連続利下げを期待していますが、FRBはインフレ再燃を警戒して利下げを躊躇する可能性があります。
この「利下げの遅れ」が、既に増加傾向にある企業倒産を加速させるでしょう。
2025年第1四半期の倒産件数は188件と、リーマンショック直後の2010年以来の高水準に達しており、特に製造業や一般消費財セクターでの苦境が目立ちます。
このようなマクロ環境下では、ポートフォリオの抜本的な見直しが求められます。
これまで市場を牽引してきたハイテク株は7月までの反発局面で利益確定し、現金比率(キャッシュポジション)を高めることが推奨されます。

秋の弱気相場でドル安・株安のダブルパンチが到来したタイミングこそが、真の買い場となります。
投資対象としては、数十年ぶりに財政拡張へと舵を切ったドイツをはじめとする欧州株や、米中対立の恩恵で製造拠点の移転が進むインドが有望です。
インドは関税率が他国(ベトナム46%、タイ36%等)に比べて26%と優遇されており、高い輸出競争力を維持できるためです。
対照的に、貿易戦争の直撃を受ける中国・台湾、そして円高が逆風となる日本株については、慎重なスタンスを維持すべきでしょう。
最後に、伝説のファンドマネージャーである林則行 (Hayashi Noriyuki) 氏の知見を引用すれば、大きなゲームチェンジの局面では過去の成功体験を捨て、新たな成長軸に資金を移動させることが資産最大化の鍵となります。
7月までの反発を利用してポートフォリオを整理し、秋に訪れる絶好の仕込み時を静かに待つのが、現時点で最も合理的な戦略と言えます。


