ミニストップ(MINISTOP)が直面している56億円もの巨額赤字と、相次ぐ閉店ラッシュの裏側には、単なる景気変動ではない深刻な構造的問題が潜んでいます。
直近の決算によれば、売上高は917億円と微増したものの、営業利益は40億円の赤字、当期純利益は56億円の赤字を記録しました。
これは3期連続の赤字であり、1,795店舗まで減少した店舗数は、業界首位のセブン-イレブン(Seven-Eleven)の2万1,600店舗、2位のファミリーマート(FamilyMart)の1万6,400店舗、3位のローソン(Lawson)の1万4,600店舗と比較して、絶望的な規模の格差が生じています。
さらに追い打ちをかけたのが、ブランドの信頼を根底から揺るがす「食品偽装問題」です。
25店舗において、手作りおにぎりや惣菜の消費期限を偽装して販売していたことが発覚しました。
ミニストップの強みであった「手作り」が仇となり、売れ残った商品に新しい期限シールを貼り直すという不正が常態化していたのです。

当初、本部は「パート・アルバイトの独断」としていましたが、実際には店長からの指示があったとする内部告発やLINE(ライン)の証拠が浮上しており、組織的な関与が疑われています。
この問題に対する本部の対応も、企業の隠蔽体質を浮き彫りにしました。
記者会見当初、本部は内部通報はなかったと回答していましたが、後に実際に通報があったことを認めるなど、二転三転する説明が信頼失墜に拍車をかけています。
「問題はなかった」と片付けていた通報内容が、実は深刻な不正そのものだったという事実は、ガバナンスの欠如を象徴しています。
現在は全店舗での惣菜販売を一時停止し、再開できたのは一部の店舗に留まっており、主力商品の欠如が売上激減の直接的な要因となっています。
ビジネスの論理から見れば、ミニストップは「3強の法則」という壁に突き当たっています。

どの業界においても市場は最終的に3社に集約される傾向があり、4位以下の企業が既存の土俵で戦い続けるのは極めて困難です。
かつてのサークルK(Circle K)やサンクス(Sunkus)がファミリーマートに統合されたように、規模の経済で勝る上位3社に対抗するには、圧倒的な差別化が必要です。
しかし、ミニストップが強みとするハロハロ(HALOHALO)やソフトクリームといったデザート部門だけでは、コンビニ全体の赤字を補填するには至っていません。
今後の展望として、従来のコンビニモデルに固執するのではなく、デザート専門店へのシフトや、親会社であるイオン(AEON)のプライベートブランド「トップバリュ(TOPVALU)」の活用など、大胆な事業構造の転換が求められています。
海外事業においても、韓国や中国からは既に撤退し、現在はベトナム(Vietnam)の約200店舗に集中していますが、そこでも苦戦が続いています。
独自の生存戦略を見出せなければ、店舗撤退だけでなく事業そのものの存続が危ぶまれる瀬戸際に立たされていると言えるでしょう。


