行政書士試験の民法において、親族法、特に「婚姻」は頻出の重要論点です。
まず理解すべきは婚姻成立の二大要件です。
実質的要件としては、当事者間に真摯な婚姻意思があること、および婚姻障害がないことが求められます。
現在の民法では、男女ともに婚姻適齢は18歳と定められており、成人年齢の引き下げに伴い統一されました。
また、重婚の禁止や近親婚の制限といった規定に違反しないことが不可欠です。
一方、形式的要件とは戸籍法に基づく届出を指し、この受理をもって法律上の婚姻が成立します。
次に、実務や試験で問われやすい「婚姻意思」の解釈について深掘りしましょう。
判例・通説によれば、婚姻意思には「届出を出す意思」だけでなく、「社会通念上、夫婦としての共同生活を送る実質的な意思」が必要であるとされています。

したがって、形だけの偽装結婚は、届出の意思があっても実質的意思を欠くため、婚姻は無効となります。
ただし、届出の受理時に一方が意識不明であっても、それまでに婚姻意思に翻意がなければ有効とする判例(最判昭45.10.31)がある点は重要です。
婚姻の効力を否定する仕組みには「無効」と「取り消し」の2種類が存在します。
無効は、人違いや届出をしない場合など、極めて重大な欠陥がある場合に認められます。
これに対し、取り消しは婚姻適齢違反や近親婚違反、詐欺・強迫などが原因となります。
特に注意すべきは、婚姻の取り消しは裁判上の訴えによってのみ可能であり、その効果は将来に向かってのみ生じる(遡及しない)という点です。
これは、既に生じた親族関係の混乱を避けるための合理的な措置といえます。
内縁関係、すなわち事実婚についても正確な知識が求められます。

内縁とは、婚姻の意思を持って実質的な夫婦生活を営みながら、届出を欠くために法律上の婚姻に至らない関係を指します。
法的には「婚姻に準ずる特別な関係」として扱われ、同居・協力・扶助義務などは婚姻の規定が類推適用されます。
しかし、最大の違いは「相続権」にあります。
内縁の配偶者には法定相続権が認められないため、財産承継には遺言等の対策が必要となります。
最後に、内縁関係の不当な解消に伴う法的責任を確認します。
判例では、正当な理由なく内縁関係を一方的に破棄した場合、不法行為責任(民法709条)だけでなく、婚姻予約の不履行(債務不履行責任)に基づく損害賠償責任も追及できるとしています。
この二重の責任追及が可能である点は、試験でのひっかけ問題になりやすいため確実に押さえておくべきです。
また、内縁の夫が死亡した際、同居していた内縁の妻が賃借権を援用して居住を継続できるかという点についても、判例は肯定的な立場を取っています。


