米国株式市場が大きな転換点を迎えています。
先週の米主要3指数は揃って50日移動平均線を割り込み、2024年8月以来の安値を記録しました。
特にS&P 500やナスダックは、トランプ次期大統領への期待で上昇した「トランプ・ラリー」の利益をすべて吐き出す形となっています。
この急落の直接的な引き金となったのは、12月の米雇用統計です。
非農業部門雇用者数は予想の16万4000人増に対し、結果は25万6000人増と大幅に上振れました。
失業率も4.1%と低水準を維持しており、労働市場の底堅さが証明された形です。
しかし、これが「利下げ期待」を打ち砕く要因となりました。
労働市場が強いということは、インフレ抑制のための高金利政策が長期化することを意味します。
その結果、長期金利の指標である米10年債利回りは4.7%まで急騰しました。
これは2023年10月以来、約15ヶ月ぶりの高水準です。
投資家は金利上昇に伴う「マルチプル・コントラクション(PERの低下)」を警戒し、株を売る動きを強めています。

特筆すべきは、S&P 500の益回り(PERの逆数)と長期金利の関係です。
ファクトセットのデータによれば、S&P 500の益回り4.65%に対し、米10年債利回りは4.7%に達しました。
つまり、リスクを取って株を持つよりも、安全資産である国債を持つ方が期待リターンが高いという逆転現象が起きています。
週足ベースでこの逆転が起きたのは、2000年以来初めてのことです!
これは、現在の米国株がドットコムバブル崩壊直前と同レベルの割高感にあることを示唆しています。
バブルの最終局面では、多くの投資家が市場から降りられずに暴落に巻き込まれる傾向があります。
そのため、インデックス投資の積み立ては継続しつつも、一括での買い増しには極めて慎重な判断が求められます。
新興国市場、特にインド株(EPI)についても厳しい見通しが出ています。
インドでは消費者物価指数(CPI)が3ヶ月連続で5%を超えるなどインフレが深刻化しています。
FRBによる高金利政策が長期化すれば、ドル高が継続し、インド株は「株安・通貨安」のダブルパンチを受けるリスクがあります。
グローバルサウスへの投資タイミングは、米国の利下げサイクルが本格化し、ドルの独歩高が落ち着くのを待つのが合理的です。

それまでは欧米の機関投資家もリスク資産である新興国株への資金シフトを躊躇するため、上値の重い展開が予想されます。
また、バンガード小型グロース株ETF (VBK) に代表される小型株も、長期金利上昇の直撃を受けています。
小型株は債務の借り換えコストに敏感であり、金利高騰は直接的に企業業績を圧迫します。
日足チャートでは50日移動平均線がレジスタンスとなっており、短期的には200日移動平均線付近までの調整も視野に入ります。
インフレ懸念は消費者心理にも影を落としています。
ミシガン大学の調査では、5年先の予想インフレ率が3.3%に上昇し、約16年半ぶりの高水準となりました。
これはトランプ政権による関税強化がインフレを再燃させるとの懸念を反映したものです。
関税導入前の駆け込み需要が一時的に景気を押し上げる可能性はありますが、その後の需要減退と景気後退のリスクは無視できません。
結論として、現在は「攻め」よりも「守り」を意識すべき局面です。
バフェット流の投資術でも説かれている通り、市場が過熱し割高な時には、冷静に現金を確保し、次のチャンスを待つ勇気が必要です。
S&P 500やオルカンへの投資が常に右肩上がりで資産を増やすとは限らないことを、改めて認識すべき時が来ています。


