インターネット上で「独身税」として物議を醸している新制度が、2024年4月から順次スタートしています。
その実態は「子ども・子育て支援金」という名称で、税金ではなく「社会保険料」の枠組みで徴収される仕組みです。
政府は少子化対策の財源としてこれを位置づけていますが、周知が十分でないまま徴収が始まることから、実質的な「ステルス増税」であるとの批判が相次いでいます。
菅原由一 (すがわら・よしかず) 氏は、この制度の不透明さと国民への負担増について警鐘を鳴らしています。
まず理解すべきは、この支援金が「社会保険料の上乗せ」であるという点です。
会社員が加入する健康保険、個人事業主の国民健康保険、さらには75歳以上の後期高齢者医療制度など、すべての公的医療保険制度に付随して徴収されます。
つまり、独身か既婚かに関わらず、社会保険を支払っている全国民が負担対象となります。
名称が「支援金」であるため、一見すると給付を受けられるような印象を与えますが、実際には国民が支払う「拠出金」であることを忘れてはいけません。
具体的な負担額については、制度開始当初の徴収率は「0.23%」程度とされています。
会社員の場合、この保険料を会社と本人が半分ずつ折半して負担します。
例えば、月収20万円の人の場合、本人負担額は月額約220円。
月収40万円の人であれば、約440円が給料から差し引かれる計算になります。

一見すると少額に感じられるかもしれませんが、問題はその後の段階的な引き上げスケジュールにあります。
政府の計画では、徴収率は2年後には「0.4%」程度まで上昇する見込みです。
月収40万円の世帯であれば、本人負担と会社負担を合わせて年間約19,000円以上の負担増となります。
さらに、企業側も同額を負担するため、経営圧迫を懸念した企業が社員の基本給の昇給を抑制する、あるいは社会保険負担の少ない短時間労働(パートタイマー)の採用にシフトするといった、間接的な賃金低下を招くリスクが指摘されています。
一方で、この支援金によって拡充される給付内容も存在します。
主な支援策として、以下の項目が挙げられます。
①児童手当の所得制限撤廃と対象拡大(高校生まで月1万円、3歳未満は月1万5000円)。
②出産時に一律10万円を支給する「出産・子育て応援交付金」。
③育児休業給付の拡充(28日間を限度に手取り100%相当を保障)。
④「こども誰でも通園制度」の創設(就労要件を問わず月10時間まで保育所を利用可能)。
⑤自営業・フリーランス向けに育休中の国民年金保険料を免除する制度の新設。
これらは子育て世代にとって手厚いサポートに見えます。

しかし、菅原氏はここに構造的な矛盾があると指摘します。
少子化対策の本来の目的は「これから結婚・出産を考える世代」を支援することであるはずですが、今回の制度は現役世代から保険料を徴収して手取りを減らしています。
手取り額の減少は、若年層が結婚や出産を躊躇する要因となり、結果として少子化を加速させる「本末転倒」な事態になりかねません。
特に、恩恵を受けられない独身世帯や子育てを終えた世代にとっては、単なる負担増でしかないという不公平感も根強く残ります。
この制度が可決された背景には、増税に対する国民の反発を避けるため、税金よりも心理的抵抗が少ない「社会保険料」という名目を利用した政府の意図が見え隠れします。
社会保険料は給与から天引きされるため、多くの人が金額の変化に気づきにくいという性質があります。
菅原氏は、事実として「国民の責任」についても言及しています。
こうした政策を掲げる政党を選んだ結果が現在の状況であり、国民一人ひとりが政治や選挙、そして自分たちの給与明細により関心を持つべきだと強調しています。
結論として、4月から始まる「子ども・子育て支援金」は、全世代に影響を及ぼす重大な制度変更です。
毎月の手取り額が数十円から数百円単位で削られていく中で、私たちができることは、制度の内容を正しく理解し、その財源が適切に使われているかを監視し続けることです。
少子化対策という大義名分の影で、家計がじわじわと圧迫されている事実に目を向け、次の選挙や政策議論において声を上げていく姿勢が求められています。


