株式市場は現在、地政学リスクの交代を背景にS&P500とNASDAQ総合が50日・200日移動平均線を上回り、下落相場から上昇相場へとシフトしています。
市場参加者の関心はイラン戦争の直接的な衝突から、企業の決算発表へと移りつつあります。
しかし、米国とイランの和解協議は難航しており、米国側は今後20年間のウラン濃縮放棄を求めているのに対し、イラン側は最長5年と回答するなど、核開発を巡る溝は依然として深いままです。
トランプ大統領によるホルムズ海峡の「逆封鎖」は、明確な戦略転換を意味しています。
イラン経済は石油輸出に大きく依存しているため、海峡封鎖は経済に壊滅的な打撃を与えます。
一度油田を止めれば元の生産能力に戻らないリスクもあり、イランにとっては長期的な逆風となります。
一方で、これは原油価格の高騰を招き、米国内のガソリン価格上昇や個人消費の冷え込みを通じて、中間選挙を控えるトランプ政権自身にとっても大きな賭けとなります。
現在の株高が維持されるかどうかは、今回の局面が「1990年の湾岸戦争型」か「1973年のオイルショック型」のどちらになるかにかかっています。
1990年当時は停戦の4ヶ月前に相場が底打ちしましたが、1973年は原油価格の高止まりが経済の重荷となり、石油禁輸が解除された後も相場は下落を続けました。
足元の市場は90年型の早期回復を期待していますが、インフレの推移次第では73年型へと変貌するリスクを孕んでいます。
投資家が次に注目すべきは、本格化する決算シーズンです。

Goldman Sachsを筆頭にJ.P. Morgan ChaseやCitigroupといった大手金融機関の発表が相次ぎます。
ここで焦点となるのは、個人や企業への貸し出し状況、延滞率の上昇、そして貸倒引当金の積み増しです。
特にブラックロックのアジアにおけるプライベートクレジットファンドで初のデフォルトが発生したことは、信用不安のリスクがノンバンクから銀行へ波及しないか、警戒を要する兆候と言えるでしょう。
下落相場から上昇相場への転換を判断する具体的なノウハウとして「フォロースルーデー」の活用が挙げられます。
フォロースルーデーとは以下の手順で確認できる強力なシグナルです。
①下落相場が底打ちした日を特定し、その翌営業日を1日目としてカウントを開始する。
②カウント4日目以降に、S&P500やNASDAQ総合などの主要指数が、前日を上回る出来高を伴って1.25%以上上昇するのを待つ。
③この条件を満たした日が「フォロースルーデー」であり、過去の主要な強気相場の100%がこの発生後に始まっています。
今回のケースでは4月8日にこのシグナルが確認されました。
中長期的な視点では、インフレヘッジとしてのコモディティ(商品)への注目が高まっています。

S&P GSCIコモディティ指数は、長期的な「カップ・ウィズ・ハンドル」という強気のチャートパターンを形成しつつあります。
コモディティは米ドルと逆相関の関係にあるため、ドル高トレンドが終焉を迎えれば、原油、工業用金属、金、銀などが大相場を迎える可能性があります。
投資手段としては「eMAXIS Plus コモディティインデックス」のような投資信託が挙げられます。
今後の資産配分において重要なのは、リターンの最大化よりもリスクの最小化、つまり「キャッシュ・イズ・キング(現金は王様)」の姿勢です。
現在のS&P500の予想PERは39倍を超えており、割高感からさらなる拡大余地は限定的です。
高インフレによる景気後退と、AIバブルの崩壊に伴うマルチプル・コントラクション(PERの縮小)が起これば、最大で50%から60%の下落も想定されます。
歴史的な周期を踏まえると、次の相場の底打ちは2027年3月または10月頃になると予測されます。
この調整局面を経て、2040年に向けた新しいサイクルでは、米国株一強時代から国際分散投資の時代へと移行するでしょう。
欧州株、新興国株、そしてビットコインなどの暗号資産が、米国株を凌駕するパフォーマンスを示す可能性が高いと考えられます。
今は過度な楽観を排し、将来の買い場に向けて現金を確保しつつ、NISAなどの積立投資を淡々と継続する忍耐が求められます。


