今回の企画は、人気教育系YouTuberのヨビノリたくみ氏が、大阪大学の数学系グループ「積分サークル」に対して仕掛けた「解けない積分ドッキリ」です。
たくみ氏は以前のコラボで、積分サークルのメンバー(はし、キム、わが、ぴろまる)に難問を即答されてしまった経験から、今回は「理論上、初等関数の範囲では絶対に解けない問題」を用意しました。
出題されたのは、原始関数が初等関数(多項式、指数関数、対数関数、三角関数などの有限回の組み合わせ)で表されないタイプの積分です。
具体的には、$\int \frac{e^x}{x} dx$(指数積分)のような形が含まれていました。
これらは、高校や大学の基礎課程で習う「置換積分」や「部分積分」といった手法をいかに駆使しても、私たちが知っている関数の形で答えを出すことは不可能です。
ドッキリが始まると、積分サークルのメンバーは意気揚々と解き始めます。
しかし、数分が経過しても誰も正解にたどり着けません。
通常、積分サークルのメンバーであれば数秒で解法の糸口を見つけるはずですが、今回の問題は「解法の糸口」そのものが存在しない領域のものです。

メンバーは、マクローリン展開(Maclaurin series expansion)を利用して近似的に解こうとしたり、複雑な置換を試みたりしますが、次第に表情に焦りが浮かびます。
「マクローリン展開ならいけるかもしれない」「微分してみたけれど形が合わない」といった、数学徒らしい高度な試行錯誤が繰り広げられます。
しかし、たくみ氏が設定した制限時間は無情にも過ぎ去り、最終的にメンバーは「解けない」という結論を出すことすら困難な、数学的な迷宮に迷い込むこととなりました。
ネタバラシの際、たくみ氏はこれが「Liouville (リウヴィル) の判定法」に関連する、初等関数では表せない積分であることを明かしました。
この判定法は、どのような関数が初等的な原始関数を持つかを数学的に決定する強力な理論です。
メンバーは「それは反則だ!」と笑いながらも、自分たちの知識の限界点に触れたことに深い感銘を受けていました。
たくみ氏が補足した通り、このタイプの積分は、例えば「誤差関数 (Error function)」や「対数積分 (Logarithmic integral)」といった、特定の名前がつけられた「特殊関数」を用いることでしか表記できません。
つまり、私たちが日常的に使っている「関数」という言葉の定義自体が、数学の広大な海の一部でしかないことをこの問題は示唆しています。

一見すると $e^x (\log x + 1/x)$ のように「解ける形」に見せかけつつ、実は $e^x/x$ という「解けないパーツ」を忍ばせるという、たくみ氏の出題センスが光るドッキリでした。
これは、数学の厳密さと、それを楽しむエンターテインメント性が見事に融合した瞬間と言えるでしょう。
この動画を通じて視聴者が学べるのは、数学には「努力で解ける問題」と「定義の枠組みを超えた問題」の二種類があるという事実です。
これはビジネスや他の学問においても同様で、解決策が見つからない時は、自分の能力不足ではなく、現在使っている「ツール(言葉や枠組み)」が不足している可能性を考えるべきだという教訓を与えてくれます。
最後には、たくみ氏の著書である「予備校のノリで学ぶ大学数学」や「難しい数式はまったくわかりませんが、微分積分を教えてください!」などが紹介されました。
これらの書籍は、今回のような高度な概念を、初心者でも理解できる平易な言葉で解説している良書です。
積分サークルのメンバーも、最後には「悔しいけれど、数学の奥深さを再認識した」と語り、ドッキリは大成功に終わりました。
知的好奇心を刺激するこの試みは、多くの理系学生や数学ファンにとって、単なる娯楽を超えた深い学びの機会となったはずです。


