北里大学に新設された「未来工学部データサイエンス学科」は、従来の工学の枠組みを超え、データと生命科学を融合させた最先端の研究拠点です。
校舎自体がサーバー室をガラス越しに配置するなど、デジタルとリアルの融合を象徴するデザインとなっています。
坂木原研究室では、バイオインフォマティクスを専門とし、人類がいまだ完全には理解できていない「生命の言葉」であるDNAの解読に挑んでいます。
DNAはA・C・G・Tの4つの塩基の並びですが、その意味を人間が直接読み取ることは困難です。
そこで、最新の生成AIを活用し、DNAを「言語」として学習させることで、異なる生物間での「方言」を翻訳し、環境浄化に役立つバクテリアの設計などに応用しようとしています。
物理的なアプローチからデータに迫るのが渡辺研究室です。
「ソフトマターインフォマティクス」を掲げ、原子や分子が織りなす極微の世界をコンピューターシミュレーションで再現しています。
例えば、食塩が水に溶ける際の分子の動きなど、実験では捉えきれない現象を可視化することで、機能性材料の開発に繋げています!
複雑な分子の挙動を可視化することは、単なるシミュレーションに留まりません。

学生にとっても直感的な理解を助け、新しい物質設計のインスピレーションを得るための重要なプロセスとなっているのです。
データモデリング研究室の島教授は、データサイエンスの定義そのものを問い直しています。
空間データや医療データといった多岐にわたる分野を扱いながら、学生に「データサイエンスの教育は本当に必要か?」というメタ的な視点を持たせ、学問の根幹を深く探求しています。
川野研究室では、遺伝子やタンパク質、代謝物などの膨大な情報を統合する「トランスオミクス」を研究しています。
従来、異なる層のデータは「混ぜるな危険」とされるほど統合が困難でしたが、AIによる抽象化ネットワークを用いることで、病気の原因究明や薬の標的発見を目指しています。
学部長の岡教授が率いるバイオイメージインフォマティクス研究室では、生物物理学の視点から「脳の計算と熱」の関係を追及しています。
神経細胞1つ単位で温度変化を測定する最新技術を駆使し、情報処理に伴う熱の発生メカニズムを解明しようとする試みは、生命の熱力学的な理解を深めるものです!
最新の研究環境では、神経細胞の活動を映像化するだけでなく、物理的なエネルギー消費までをデータとして捉えることが可能になっています。
これにより、生命現象をデジタルデータとして完全に記述する未来が近づいています。

北里大学未来工学部では、これら5つの研究室が有機的に繋がり、データの力で未知の領域を切り拓いています。
オープンキャンパスでは校舎に隠されたフィボナッチ数列を探索する企画など、遊び心のある教育環境も整っています。
具体的な研究プロセスは以下の通りです。
①対象となる生体現象(DNAや分子挙動)のデータを収集する。
②AIや物理シミュレーションを用いてデータを構造化・可視化する。
③得られた知見を環境問題や医療、物理学の未解決問題に還元し、社会実装への道を探ります。
未来のエンジニアには、プログラミング能力だけでなく、生物学や物理学の深い知見をデータで繋ぐ「架け橋」としての役割が期待されています。
この学部はそのための最強のフィールドと言えるでしょう。


