私たちの暮らす地球は、地軸を中心に北極側から見て反時計回りに自転しています。
その速度は赤道上で時速約1700kmに達し、音速や新幹線の数倍という猛烈なスピードですが、慣性の法則により私たちはその回転を実感することはありません。
この自転の1周期が「1日」の定義となり、24時間という時間の概念が形作られてきました。
しかし、科学的な計測によれば、自転の速度は常に一定ではありません。
主な要因として、月の引力、大気の変化、そして地球内部にある液体の核(外核)の動きが挙げられます。
例えば、月の位置が赤道付近にあるか極地付近にあるかによって、地球を引っ張る力が変わり、自転速度に微妙なばらつきが生じるのです。
また、物理学における「角運動量保存の法則」も重要な役割を果たします。
大気の流れが遅くなると、系全体の回転を維持するために地球本体の回転が速まります。
同様に、地球内部の液体の核の回転が遅くなれば、その分だけ地殻を含む外側の回転が加速するという仕組みです。
まるでフィギュアスケートの選手が腕を縮めると回転が速くなるような現象が、地球規模で起きているのです!
歴史を遡れば、地球の自転は長期的には「減速」の道を辿ってきました。

これは「潮汐摩擦」と呼ばれる、海水と海底の摩擦がブレーキの役割を果たすためです。
約4億3000万年前は1日が21時間しかなく、恐竜がいた約7000万年前でも1日は約23.5時間でした。
つまり、地球は長い年月をかけてゆっくりと回転を緩めてきたのです。
この減速による時間のズレを調整するために導入されたのが「うるう秒」です。
1972年以降、天文的な時間と正確な原子時計の差を埋めるため、必要に応じて1秒を追加してきました。
ところが、ここ数年でこの傾向に異変が起きています。
2017年を最後にうるう秒の追加は行われておらず、逆に自転が「加速」しているというデータが次々と報告されているのです。
特筆すべきは、2024年7月5日に観測史上最短となる「マイナス1.66ミリ秒」の短縮が記録されたことです。
2025年においても、7月10日や8月5日に歴史的な短さを更新する勢いで自転が速まっていることが確認されています。
なぜ今、地球は急ぎ足で回り始めたのでしょうか?
自転速度が夏に速くなりやすい傾向については、一定の解明が進んでいます。

夏はジェット気流の影響で南北方向の風が強まり、大気の回転速度が落ちるため、その反動で地球本体の自転が加速しやすくなります。
しかし、近年の急激な加速については、これら既知の要因だけでは十分に説明がつかない部分が残っています。
地球内部の核の動きが関与しているという説もありますが、深層部の観測には限界があり、完全な原因特定には至っていません。
科学者たちは日夜計測を続けていますが、数ヶ月先までの予測が精一杯であり、長期的な自転の挙動を完璧に読み解くことは現代科学をもってしても極めて困難な挑戦なのです。
この自転速度の変化は、単なる科学的な興味に留まりません。
私たちの生活を支えるGPSや通信ネットワークなどは、極めて正確な時刻同期を必要とします。
もし自転の加速が続けば、これまでの「1秒追加」ではなく、史上初となる「1秒削減(負のうるう秒)」を検討しなければならない局面が来るかもしれません。
地球という巨大な独楽(こま)は、今もなお私たちの足元で複雑に揺れ動きながら回り続けています。
最新のネットニュースで話題となったこの現象は、私たちが当たり前だと思っている「1日24時間」という概念が、実は地球のダイナミックな変動の上に成り立つ、繊細なバランスの産物であることを教えてくれます。
今後のさらなる研究成果に期待が寄せられています。


