2026年3月に国会で可決された制度改正により、NISAのつみたて投資枠に劇的な変化が訪れます。
これまで同枠では、債券に投資するためには「株式を含むバランス型ファンド」を選択するしかありませんでした。
しかし、2027年1月からは債券インデックスファンドを単独で購入できるようになります。
これは投資家にとって待望の「神改正」と言えるでしょう。
今回の改正の核心は、つみたて投資枠の対象商品の要件が「主に株式に投資するもの」から「主に株式または公社債に投資するもの」へと変更された点にあります。
専門的な定義では、債券のみを対象とするファンドであっても、税制上の「公募株式投資信託」として組成されていれば、つみたて投資枠での購入が可能になります。
これにより、投資家は自分のリスク許容度に合わせて自由に資産配分を設計できるようになるのです。
具体的には、日本の年金を運用するGPIFのように「国内債券・外国債券・国内株式・外国株式」を25%ずつ組み合わせるような運用が、つみたて投資枠のみで実現可能になります。
これまで、1800万円の生涯投資枠を最大限活用しようとすると、成長投資枠とつみたて投資枠の使い分けに悩む場面が多くありました。
しかし今後は、つみたて投資枠だけで理想的なアセットアロケーションを完結させることが可能となります。

この改正は、特に「出口戦略」を意識する層にとって大きな恩恵をもたらします。
例えば、老後資金の取り崩しを控えた世代が、リスクの高い株式から安定した債券へ資産をシフトさせる「債券シフト」が、非課税枠内で行いやすくなります。
また、大学資金の確保を目的とした「こどもNISA」においても、時期が決まっている支出に備えて債券で安全に運用する選択肢が生まれるのは非常に大きな前進です。
投資家が今後取るべき具体的なアクションは以下の通りです。
①2027年の施行に向けて、自身のアセットバランスを再定義する。
②各運用会社から今後発表されるであろう、つみたて投資枠対象の債券ファンドをリストアップする。
③現在の特定口座や成長投資枠での運用を、新しいつみたて投資枠へどう移行させるかシミュレーションを行う。
これらの準備を今から進めておくことが重要です。
一方で、今回の改正に含まれなかった要素についても注意が必要です。
リート(不動産投資信託)や金・石油などのコモディティは、引き続きつみたて投資枠の対象外となっています。

また、預金に近い性質を持つMRFやMMFも、現状では対象に含まれる見込みはありません。
あくまで「公募株式投資信託」の形態をとる債券インデックスファンドが主役となる改正であることを理解しておきましょう。
売買手数料についても微細な変更があります。
原則「ノーロード(無料)」という規定は維持されますが、証券会社が提供する「定期売却サービス」については、システム維持の観点から必要最小限の手数料徴収が認められるようになります。
ただし、SBI証券や楽天証券といった大手ネット証券を利用しているユーザーにとっては、大きな影響はないと予測されます。
アセットアロケーション運用は、世界標準の投資手法です。
債券はポートフォリオのブレーキ役を果たし、市場の急落時に資産の目減りを抑える役割を担います。
今回の改正は、日本人がより健全かつ長期的に資産形成を継続するための、強力なインフラ整備といえます。
2027年の施行を楽しみに待ちつつ、現在の運用戦略を今一度見直す絶好の機会となるでしょう。


