現代人の多くは「平日は懸命に働き、週末にまとめて休む」というスタイルをとっていますが、精神科医の樺沢紫苑 (Shion Kabasawa) 氏によれば、これは脳科学的に見て極めて効率の悪い方法です。
週末の寝溜めは体内時計を狂わせ、かえって週明けのパフォーマンスを低下させます。
また、平日の睡眠不足で蓄積した「睡眠負債」は、週末の数時間程度の追加睡眠では解消できません。
真に疲れを残さない人は、その日のストレスを翌日に持ち越さない「酔い越しのストレスは持たない」という原則を徹底しています。
休養の最も基礎となるのは「睡眠」です。
人間は寝ている間にしか脳と体を根本から修復できません。
最低でも7時間の睡眠を死守し、できれば7時間半から8時間を目標にすべきです。
6時間を切るような生活では、どのような休養メソッドを取り入れても疲労は蓄積する一方です。
睡眠時間を確保するためには、無駄な時間を削る「時間管理術」が不可欠であり、睡眠をスケジュールの一番最初に組み込む姿勢が求められます。

効果的な疲労回復のための第2の柱は「入浴」です。
単に湯船に浸かるだけでなく、寝る90分前に入浴を済ませることがポイントです。
これにより、寝る直前に深部体温が下がり、深い睡眠へスムーズに移行できます。
深い睡眠中には、疲労回復を司る「成長ホルモン」が大量に分泌されます。
さらに、アスリートも実践する「交代浴(温水と冷水に交互に浸かる)」やサウナは、血流を改善し疲労物質を物理的に押し流す効果があるため、積極的に活用したい手法です。
第3の柱は「運動」です。
疲れている時に運動をすると余計に疲れると思われがちですが、実は「アクティブレスト(積極的休養)」という概念があり、軽い運動は成長ホルモンの分泌を促し、脳の疲れをリセットしてくれます。
週2回程度の運動習慣は、ストレス耐性を高め、メンタル疾患の予防にも直結します。
仕事中のデスクワークで固まった筋肉をほぐすためにも、立ち上がって歩く、あるいはストレッチをすることが、静止しているよりも高い回復効果をもたらします。

日中の短い休憩時間の過ごし方にも注意が必要です。
多くの人がやりがちな「休憩中のスマホ」は、脳にとって最悪の選択です。
スマホから流れてくる膨大な視覚情報は脳を激しく興奮させ、休ませるどころか疲弊させます。
脳を回復させるための休憩術ベスト3は、①会話(雑談によるオキシトシンの分泌)、②運動(立ち上がる・歩く)、③何もしない(目をつぶって視覚情報を遮断する)です。
特に「目をつぶる」だけで、脳に入る情報の8割を占める視覚をカットでき、瞑想に近い休息効果が得られます。
これらのメソッドを統合し、自分なりの「回復ルーティン」を構築することが重要です。
例えば、「寝る2時間前には興奮系の娯楽(スマホ・ゲーム)を終える」「週2回は必ずジムに行く」「休憩時間はスマホを見ずに同僚と雑談する」といった具体的なアクションをスケジュールに書き込みましょう。
休養は「余った時間でするもの」ではなく、「高いパフォーマンスを維持するために戦略的に行う投資」であると認識を改めることが、疲れ知らずのビジネスパーソンへの第一歩となります。


