現代において「増やす力」を鍛えることは、経済的自由へのスピードを加速させるために避けては通れない道です。
まず直視すべきショッキングな事実は、1700年以降に存在した約750の通貨のうち、現在も残っているのはわずか20%に過ぎないという歴史的現実です。
残った20%の通貨も例外なく価値が切り下げられており、人類の歴史はインフレの歴史そのものであると言えます。
1850年当時のドイツでは Gulden (ギルダー) や Thaler (ターラー) が使われ、日本では「円」ではなく「両」が使われていたように、通貨は常に死んでいく運命にあります。
真の富とは「お金の数字」ではなく、物やサービスを手に入れるための「購買力」を指します。
1年先の支払いのために現金を貯めるのは合理的ですが、10年20年先の資産形成のために通貨だけで貯蓄するのは、歴史的に見て極めてリスクの高い選択なのです。
1802年から2021年までの200年超のデータを見ると、1ドルの現金はその価値を1/23に減らした一方で、株式インデックスに投資された1ドルは5400万ドルにまで成長しました。
短期的な価格変動は大きいものの、長期的に購買力を維持・成長させてくれる資産クラスは株式が圧倒的です。
したがって、短期の支払いには通貨を、長期の資産形成には株式を充てるという使い分けこそが、家計管理の極意となります。
新NISA (Nippon Individual Savings Account) の開始により、全世界株式インデックスファンドである eMAXIS Slim All Country (オールカントリー)、通称「オルカン」への投資が普及していますが、ここで勝てる人と負ける人を分けるのは「誘惑への耐性」です。

分散投資の宿命として、特定の国やセクターが爆発的に伸びる年であっても、分散の効いたオルカンがリターン1位になることはありません。
しかし、プロでも今年の1位を当て続けることは不可能であり、1位を狙って売買を繰り返すほど手数料や税金でリターンは削られます。
地味な平均点を10年20年と積み重ねることで、最終的には上位数パーセントの成績に食い込めるのがインデックス投資の真実です。
1位を狙わないからこそ、大負けせず、長期的に資産を最大化できるのです。
次に注目すべきは、低迷が続く J-REIT (ジェイ・リート) 市場の活用です。
2024年に入り日経平均が史上最高値を更新する中で J-REIT は停滞していますが、利回りは過去10年でコロナショック時に次ぐ高水準にあります。
具体的には「アドバンス・レジデンス投資法人 (Advance Residence Investment Corporation)」のような、東京23区の賃貸住宅に特化した高格付け銘柄が挙げられます。
住宅系リートは景気変動に強く、不景気でも家賃収入が安定しているため、円建ての安定したキャッシュフロー(分配金)を確保したい投資家にとっては、ポートフォリオの5%程度を目安に検討する価値がある資産です。
税制優遇制度の使い分けについては、NISA と iDeCo (Individual Defined Contribution Plan) の構造的違いを理解しなければなりません。

両者の運用プロセスは①積み立て、②運用、③受け取りの3ステップで構成されますが、最大の相違点は「出口」と「流動性」です。
iDeCo は積み立て時に所得控除を受けられるメリットがある反面、原則60歳まで資金が拘束され、受け取り時には税金がかかる(控除はあるものの)複雑な出口戦略が求められます。
対して NISA は、積み立て時の控除はないものの、運用益は完全に非課税で、いつでも自由に引き出せる圧倒的な流動性があります。
したがって、まずは NISA の枠を埋めることを優先し、その上でさらなる余力がある場合に iDeCo を活用するのが、現代のビジネスパーソンにとって最も合理的で失敗の少ない選択と言えるでしょう。
最後に、暴落時のマインドセットとして「誰かの Black Monday (ブラックマンデー) は、誰かの Black Friday (ブラックフライデー) である」という格言を心に刻んでください。
1987年の暴落時、パニックで投げ売りした人々にとっては悪夢でしたが、そこで買い向かった人々にとっては世紀のバーゲンセールでした。
広く分散されたインデックス投資において「損切り」という概念は不要です。
一時的な暴落は、質の高い資産を安く仕込むチャンス、あるいは長期保有の過程で避けて通れない「試練」に過ぎません。
暴落時にビビって投げ売りせず、淡々と持ち続ける者だけが、最終的な勝利を手にすることができるのです。


