行政書士試験において、行政事件訴訟法の「処分性」は多くの受験生が躓く難所です。
しかし、この概念を攻略することこそが、合格への最短ルートとなります。
処分性とは、簡単に言えば「裁判所が審理を受け付けてくれるかどうか」の境界線です。
行政庁の行為に処分性がなければ、裁判所は門前払いをしてしまいます。
定義は「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められるもの」です。
この60文字程度の定義は、記述式対策として暗記が必須となります。
重要なのは「公権力の主体」という点です。
国が一般人と同様の立場で行う賃貸借契約や備品の購入などは、処分性が認められません。
次に「直接国民の権利義務を形成する」という要件があります。
特定の個人を対象とせず、広く国民全体に影響する法律や条例の制定は、原則として処分性がありません。

行政指導についても注意が必要です。
行政指導はあくまで相手方の「任意の協力」に基づくソフトな行為であるため、原則として処分性は否定されます。
ただし、実態が強制的な「ジャイアン」のような行為であれば、行政指導の形式をとっていても処分性が認められる場合があります。
これが判例の分かれるポイントです。
試験対策として判例を一つずつ読み込むのは非効率です。
膨大な判例を突破するには、キーワードと結論をセットで覚える戦略が有効となります。
例えば「保育所の廃止条例」は処分性あり、「ゴミ焼却場の設置」は処分性なし、という具合に機械的に仕分けていくのが得点のコツです。
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訴訟の選択における「自由選択主義」も重要な概念です。
原処分(最初の処分)を争うか、審査請求の採決を争うかは、原則として申立人が自由に選べます。

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ここで「原処分主義」というルールが登場します。
処分の違法は処分取消訴訟で、採決の固有の違法は採決取消訴訟でしか主張できないという原則です。
例外として「採決主義」という制度もあります。
これは法律により、採決のみを訴訟の対象とするもので、その際には原処分の違法も併せて主張可能となります。
記述式試験では、これらの原則を正確に説明できるかどうかが問われます。
用語の定義だけでなく、どの場面でどの理屈が適用されるかを構造的に理解しましょう。
学習の1周目は3割程度の理解で十分です。
繰り返し学習することで、点と点が繋がり、行政法全体の景色が見えてくるはずです。


