近年、20代から30代の若年層において「新NISA貧乏」という言葉が注目されています。
これは将来の不安に備えるあまり、現在の生活費や消費を過度に削って投資に回してしまう現象を指します。
本来、投資は人生を豊かにするための手段であるはずが、いつの間にか「枠を埋めること」自体が目的化してしまっているのです。
かつての高度経済成長期であれば、所得が右肩上がりに増え、年金への不安も少なかったため、人々は積極的にマイホーム購入などの消費に動くことができました。
しかし、現代は実質賃金が伸び悩み、年金制度への不信感が強い社会背景があります。
その結果、かつての住宅ローンへの支払いが、現代の若者にとってはNISAへの積立投資に置き換わっているという側面があります。
若者が投資に向かうこと自体は非常に賢明な判断です。
しかし、今の生活を犠牲にしてまで非課税枠の1,800万円を最短で埋める必要はありません。
老後に必要なお金は、誰かが決めた「2,000万円」や「5,000万円」といった数字ではなく、自分自身の生活水準から導き出すべきものです。
資産設計において最も重要なのは「逆算」の思考です。

具体的には、以下の3つのステップで自分だけの積立額を算出します。
①まず、老後の理想的な生活費から、将来受け取れる公的年金の見込額を差し引き、月々の不足分を明確にします。
②次に、その不足分を補うために必要な「目標資産額」を決定します。
③最後に、現在の年齢からリタイアまでの「運用年数」を設定し、期待利回りから逆算して「毎月の積立額」を導き出します。
例えば、65歳時点で3,000万円の資産を作ることを目標とする場合、25歳から40年間の運用期間があれば、年利5%の想定で毎月約2万円の積み立てで達成可能です。
この場合、元本は約960万円で済み、残りの2,000万円以上は運用の収益で賄える計算になります。
1,800万円の枠を使い切らなくても、十分に豊かな老後は準備できるのです!
一方で、単身生活を選択する場合は、家族世帯に比べて生活コストの効率(等価可処分所得の概念)が低くなるリスクに注意が必要です。
1人で暮らすコストは、2人で暮らす場合の単純な半分ではなく、より割高になります。
こうしたリスクも踏まえ、自分自身のライフプランに合わせた「余裕を持った資産設計」が求められます。

また、現代の若者には「ワークライフバランス」を重視する傾向がありますが、これは所得の伸びを抑制する要因にもなり得ます。
今の時間を大切にしながらも、必要な収入を確保するためには、権利を適切に行使し、キャリアを形成していく「ファイト」も時には必要です。
投資だけでなく、自己研鑽や環境への働きかけも資産形成の一部と言えます。
MoneySenseCollege®︎が推奨するのは、手取り収入の約10%を投資に回し、残りの90%で今を全力で楽しむというバランス感覚です。
10%程度の積立であれば、今の生活を極端に圧迫することなく、長期的な安心を手に入れることができます。
過度な節約で今という貴重な時間を損なうのは、本末転倒ではないでしょうか?
もし将来がどうしても不安であれば、まずは正確な「老後資産設計」を行うことから始めてください。
根拠のない不安は、具体的な数字に落とし込むことで解消されます。
自分の人生のハンドルを自分で握るために、まずは「誰かの正解」から卒業し、自分にとっての最適解を見つける努力をしましょう!


