現在、株式市場は「何が起きても上を目指したがる」という極めて特殊な局面にあります。
経済アナリストの朝倉慶 (Akira Asakura) 氏は、この背景に世界的な「マネーの価値喪失」があると指摘します。
アメリカが国防費に240兆円を投じるなど、主要国が通貨を増刷し続ける現状では、現金の価値が相対的に目減りし、株式やゴールド、ビットコインといった資産へ資金が逃避せざるを得ないのです。
朝倉氏はアルゼンチンやトルコの例を引き合いに出し、国内経済が苦境にあっても株価が数十倍、数百倍に跳ね上がる「通貨毀損型の上昇」が日本でもマイルドな形で進行していると分析しています。
個人投資家でアクティビストの田端信太郎 (Shintaro Tabata) 氏は、日経平均が一時的に下落した際、自身も弱気になり売却したエピソードを明かしましたが、市場はわずか2週間で高値圏へ復帰しました。
この強さの源泉は、日本株の需給の「薄さ」にもあります。
過去10年で個人投資家が約60兆円を売り越した一方で、企業による自社株買いが同規模で実施され、市場から浮動株が消滅しています。
この需給の引き締まりが、先物主導のわずかな買いで株価が跳ね上がる「上がりやすい土壌」を作り出しているのです。

さらに議論は、中東危機に端を発する「供給制約型インフレ」に及びます。
字幕で「等々」と誤記された TOTO (トートー) や、「陸士」とされた LIXIL (リクシル) の受注停止問題は、単なるコスト増ではなく「物がない」という深刻な事態を示唆しています。
朝倉氏は、これが日本人のインフレマインドに火をつけると予測します。
例えば、ユニットバスの供給が止まれば、引き渡しを急ぐ業者は「価格が5倍でもいいから譲ってくれ」というオークション形式の価格形成を受け入れざるを得なくなります。
一度書き換えられた高い価格設定は、供給が正常化しても容易には下がりません。
金利動向についても鋭い考察がなされました。
日銀が0.25%や0.5%程度の利上げを行ったところで、体感インフレ率が2桁に達している現状では「実質金利」は依然として大幅なマイナスです。

朝倉氏は、日本の家賃(帰属家賃)の算出ラグにより、公表される消費者物価指数は実態より低く抑えられていると指摘。
これから本格的な家賃上昇やサービス価格への転嫁が始まれば、日銀の政策は常に「後手に回る」ことになります。
債券市場で海外投資家が国債を支えている歪な状況が崩れた時、さらなる金利上昇と、それに負けないインフレ資産(株)へのシフトが加速するとの展望を示しました。
結論として、目先の暴落を恐れてショート(空売り)を仕掛ける戦略は、2008年以前の旧来の相場観に基づいた危険な行為であると警鐘を鳴らしています。
現在は、調整局面で40〜50%の下落があったとしても、それをマネーの力で強引に押し戻す「新時代の相場」です。
投資家は、通貨価値が毀損していく中での自己防衛として、株式を「持たざるリスク」を再認識すべきでしょう。
ただし、ボラティリティは極めて高いため、レバレッジ管理には細心の注意を払うことが長期的な生存戦略となります。


