わが国の保険制度を正しく理解することは、FP試験のみならず、現代社会を生き抜くための重要な知恵となります。
まず大前提として、日本の保険は「社会保険」と「民間保険」の2つに大別されます。
社会保険は強制加入であり、公的なセーフティネットとしての役割を果たします。
一方で民間保険は任意加入であり、個人のライフスタイルやリスク許容度に合わせて選択するものです。
効率的なリスク管理の手順は以下の通りです。
①自分自身の周りにあるリスクを洗い出す。
②そのリスクが顕在化した際の支出や損害額を見積もる。
③預金や社会保険でカバーできない不足分を、民間保険で補う。
この「民間保険はあくまで補完」というスタンスを忘れてはいけません。
民間保険の運営主体には、一般的な保険会社のほかに、共済や少額短期保険があります。
少額短期保険とは、その名の通り保険金額が少額で、保険期間が1年から2年の短期・掛け捨て型の商品を指します。
具体的には、1人の被保険者から引き受ける保険金額の合計は原則1,000万円が上限です。
期間は生命保険・医療保険で1年、損害保険で2年と定められています。
ここで注意すべきは、少額短期保険は所得控除の対象外であり、後述する保険契約者保護機構の保護も受けられないという点です。

消費者を守るための強力な武器が「クーリングオフ」制度です。
強引な勧誘で契約してしまった場合でも、申し込みや書面受領の遅い方の日から8日以内であれば、一方的に契約を撤回できます。
なぜ8日なのか?
それは、日曜日を含めた1週間をじっくり考える時間に充てるためです。
ただし、契約期間が1年以内の短期契約や、自ら営業所に赴いて締結した契約、法律で義務付けられている自賠責保険などは対象外となるため、注意が必要です。
万が一、保険会社が破綻した場合には「保険契約者保護機構」が機能します。
生命保険の場合、責任準備金の90%までが補償されます。
ここで重要なのは「保険金」そのものではなく、将来の支払いのために積み立てられた「責任準備金」の90%であるという点です。
勘違いしやすいポイントですので、試験対策としては明確に区別しておきましょう。
損害保険の場合、破綻から3ヶ月以内であれば保険金の100%が補償されます。
しかし、3ヶ月を過ぎると補償額は原則80%に低下します。
なぜこのような仕組みになっているのか?
それは、契約者に対して速やかに新しい保険会社への乗り換えを促すためです。

ただし、公共性の高い自賠責保険や地震保険については、破綻後の期間に関わらず100%の補償が維持されます。
なお、共済や少額短期保険はこの保護機構の対象外であることを再認識しておきましょう。
また、銀行窓口で加入した保険についても、銀行はあくまで代理店に過ぎません。
銀行が破綻しても保険契約には影響がなく、逆に保険会社が破綻した場合は、通常通り保険契約者保護機構の対象となります。
金融機関の役割を整理しておくことが肝要です。
保険会社の経営の健全性を測る物差しが「ソルベンシー・マージン比率」です。
これは、大震災などの予測不能な事態が起きた際、どの程度の支払い余力があるかを示す数値です。
200%以上が健全性の目安とされており、これを下回ると行政指導の対象となります。
ただし、過去には200%を超えていても破綻した例があるため、過信は禁物です。
最後に、根拠となる法律の整理です。
「保険業法」は保険会社などの業者を規制するルールであり、「保険法」は保険契約そのもののルールを定めたものです。
かつて共済は独自のルールで運営されていましたが、現代では保険と同様の機能を持つため、現在では保険法が共済契約にも適用されるようになっています。
このように、時代の変化に合わせて法整備が進んでいる背景を理解すると、知識が定着しやすくなります。


