日本の雇用制度において、65歳は大きな節目となります。
多くの方が定年退職や再雇用後の離職を経験しますが、その際に絶対に知っておくべきなのが「高年齢求職者給付金」という制度です。
これは65歳以上の雇用保険加入者が離職した際に受け取れる失業保険の一種であり、一般的な「基本手当」とは異なる大きな特徴を備えています。
まず、受給のための基本的な条件を確認しましょう。
離職時に雇用保険に加入していること、離職日以前の1年間に通算6ヶ月以上の被保険者期間があること、そして何より「失業状態」であることが条件です。
ここで言う失業状態とは、働く意欲と能力があり、ハローワークを通じて積極的に求職活動を行っている状態を指します。
単に「のんびり過ごしたい」という方は対象外となりますが、再就職を考えている方にとっては非常に強力なサポートとなります。
この制度の最大のメリットは、年金との併給が可能である点です。
65歳未満で受け取る「基本手当」の場合、受給期間中は老齢厚生年金の支給が停止されてしまいますが、65歳以降の「高年齢求職者給付金」であれば、年金を全額受け取りながら給付金も手にすることができます。
さらに、基本手当のように4週間ごとの認定を繰り返す必要がなく、一度の失業認定で一括受給できる点も、事務手続きの負担を軽減したい現代人には大きな魅力です。
具体的な支給額を算出してみましょう。

給付額は「賃金日額 × 給付率 × 支給日数」で決まります。
支給日数は、雇用保険の加入期間が1年未満であれば30日分、1年以上であれば50日分となります。
賃金日額には上限があり、現在は7,255円(※動画公開時点の数値)とされています。
この上限額で50日分の支給を受けると、7,255円 × 50日 = 362,750円となり、最大で約36万円を一括で受け取ることができるのです。
さらに驚くべきは、この給付金には受給回数の制限がないという点です。
一度受給した後に再就職し、そこで再び1年以上の雇用保険期間を満たして離職すれば、再度最大36万円を受け取ることが可能です。
65歳から70代にかけて、複数の職場で経験を積みながらステップアップしていく方にとっては、その都度受け取れる貴重な資金源となります。
ただし、注意点も存在します。
以前の動画でも解説しましたが、65歳の誕生日の「2日前」までに退職して「基本手当」を受け取る場合と比べると、総額では差が出ます。
基本手当(65歳未満)であれば、最大日額7,623円で150日分の支給、総額約114万円を受け取れる可能性があるからです。

その差額は約80万円に上りますが、基本手当は年金が停止されることや、何度もハローワークに通う手間が発生することを考慮し、どちらが自身のライフスタイルに合うかを選択する必要があります。
申請手続きは以下の手順で行います。
① 会社から離職票を受け取る。
② 住所地を管轄するハローワークへ行き、求職の申し込みと離職票の提出を行う。
③ 7日間の待機期間(および自己都合退職の場合は約1ヶ月の給付制限期間)を待つ。
④ 指定された日にハローワークで失業の認定を受ける。
⑤ 認定後、数日で指定口座に一括で振り込まれる。
手続きの期限は「離職日の翌日から1年間」と定められていますが、ギリギリに申請すると支給日数分を全額受け取れないリスクがあります。
待機期間や事務処理を考慮すると、遅くとも退職から8ヶ月以内には申請を済ませるのが鉄則です。
セカンドライフを豊かにするために、国が用意した正当な権利であるこの制度を、賢く活用していきましょう。


