日本の公的医療保険制度は「世界最強」と称されるほど充実しており、多くの国民にとって民間の医療保険は不要なコストとなっています。
税理士の大河内薫氏は、ロジカルな視点から家計を見直す重要性を説いています。
そもそも保険とは「発生確率は低いが、起きたら生活が破綻するリスク」をカバーするための手段です。
日本の医療費は、制度によって個人負担が抑えられているため、実はこの定義に当てはまりません。
中核となるのが「高額療養費制度」です。
これは1ヶ月の医療費に上限を設ける制度で、一般的な年収層であれば月々の支払いは8万円程度に抑えられます!
さらに、病院窓口での支払いを最初から限度額までに抑える仕組みも普及しています。
具体的な上限額の目安を知ることは家計管理の第一歩です。
年収約360万円なら月額約6万円、500万円なら約8万円、800万円なら約17万円が上限の目安となります。
日本人の平均的な年間医療費データを見ると、15〜44歳では約14万円に過ぎません。

若年層にとって医療費が1ヶ月に集中したとしても、高額療養費制度があるため、貯蓄で十分対応可能です。
がん保険への不安を抱く方も多いですが、最新の調査によれば、がんの治療費は平均60万〜100万円程度と言われています。
この金額を貯蓄で賄える状態であれば、月々の保険料を支払うよりも効率的です。
会社員や公務員には、さらに強力なサポートがあります。
業務外の病気や怪我で働けなくなった場合、「傷病手当金」として最長1年6ヶ月、給与の約3分の2が支給されます!
業務中であれば「休業補償給付」が適用されます。
先進医療については、その希少性と確率を冷静に分析すべきです。
数百万の費用がかかる可能性はありますが、実際に適用される確率は極めて低く、そのためだけに高額な民間保険を維持するのは非効率です。
「保険に入っていて助かった」という成功体験は声が大きく聞こえますが、その裏には保険料を払い続けて一度も使わなかった圧倒的多数の人々がいます。

保険会社が利益を出しているという事実が、その構造を証明しています。
家計改善のための具体的ステップは以下の通りです。
① 自分の健康保険証の種類を確認し、利用できる公的制度(傷病手当金の有無など)を把握する。
② 現在の貯蓄額を、高額療養費制度の自己負担限度額(約8〜17万円)と比較する。
③ 貯蓄が十分なら民間保険を解約または見直し、浮いた資金を投資や自己投資へ回す。
自営業者やフリーランスで、どうしても不安な場合は「都民共済」などの共済を検討しましょう。
月額2000円程度の低コストで、入院1日目から保障が受けられるシンプルな設計が魅力です。
結局のところ、保険は「安心」という感情をいくらで買うかの問題に帰結します。
ロジカルに考えれば不要ですが、もし加入し続けるなら、それが貯蓄を減らす「損失」であることを自覚した上で選択すべきです。


