2025年12月の金融市場は、大きな転換点を迎えています。
まず注目すべきは、世界最高峰の投資銀行である Goldman Sachs Group (ゴールドマン・サックス・グループ) の株式ストラテジスト、Peter Oppenheimer (ピーター・オッペンハイマー) 氏による衝撃的な予測です。
同氏は、今後10年間の米国株(S&P 500)の年間リターンを6.5%と見込み、他の地域、特に新興国の予想リターン10.9%を大きく下回ると指摘しました。
米国株がこれまで「一人勝ち」してきた背景には割高感があり、今後はAIの恩恵が世界中に普及することで、米国以外の市場がアンダーパフォーム(平均を下回る成績)を脱却するトレンド転換が起こる可能性があります。
このような予測を前にして、投資家はどう振る舞うべきでしょうか。
結論として、MSCI ACWI (オール・カントリー・ワールド・インデックス、通称「オルカン」) に投資している方は、特定の国が勝つことを前提としないため、そのまま維持するのが最善です。
一方で、S&P 500 への集中投資に不安を感じた方は、既存の資産は売却せず(税金の支払いを避けるため)、今後積み立てる分をオルカンへシフトするのが賢明な判断です。
長期投資において最も重要なのは、低コスト、分散、長期の3原則を維持することであり、市場の予測に一喜一憂して頻繁に売買を繰り返すことは、資産形成を妨げる最大の要因となります。
次に、日本の社会保障制度に関する極めて重要な変更点があります。
政府は、75歳以上の後期高齢者の配当金などの金融所得を、医療保険料や窓口負担額に反映させる方針を固めました。
これまでは確定申告をしない(申告分離課税を選択する)ことで、高額な配当所得があっても保険料を低く抑えることが可能でしたが、2020年代後半からはこの「逃げ道」が塞がれることになります。

例えば年500万円の配当がある場合、現在の制度では保険料が年間約1万5000円で済むケースが、新制度下では約52万円に跳ね上がる可能性があり、窓口負担も1割から3割へ上昇します。
この変更は、現役世代にとっては負担軽減に繋がる「朗報」ですが、資産形成を頑張っている層にとっては、将来的な手取り額を減らす「悲報」となります。
これに対する有効な対策は、高配当株や債券などの「分配金を出す資産」から、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のような「無分配のインデックスファンド」へと投資対象をシフトすることです。
含み益のまま資産を育てることは、現時点の税制や社会保険制度において最強の防衛策となります。
売却益にかかる保険料負担も将来的に検討される可能性はありますが、まずは配当・利子から適用されるため、含み益を育てる複利運用が最も効率的である事実に変わりはありません。
また、米国の WSJ (The Wall Street Journal/ウォール・ストリート・ジャーナル) とシカゴ大学の調査によれば、米国民の約8割が将来に対して悲観的であるというデータが出ています。
世界最大の経済大国であっても、人間は本能的に将来を不安視しやすい生き物です。
しかし、インデックス投資で成功する唯一の道は、人類の成長と資本主義のパワーを信じる「楽観主義者」であることです。
暴落や不景気が来ても、長期的には回復し、最高値を更新し続けると信じられるメンタルこそが、最終的なリターンを決定づけます。
個別商品への注意も必要です。
ソフトバンクグループ (SoftBank Group) が発行する個人向け社債(第67回無担保普通社債)が、年利3.98%という高金利で注目を集めていますが、これは「無担保」で一企業にお金を貸すという信用リスク(クレジットリスク)を伴います。

債券投資の基本は分散であり、1社に資産を集中させることはギャンブルに近くなります。
1000以上の銘柄に分散された債券ファンドを活用するか、個別で買うなら最低10銘柄以上には分けるべきです。
祈るしかない「お祈り投資」にならないよう、分散投資の原則を徹底してください。
さらに、SBI Shinsei Bank (SBI新生銀行) が打ち出した普通預金金利最大4.2%のキャンペーンについても冷静な分析が必要です。
この高金利が適用されるのは預金額100万円までに限定され、期間も約3ヶ月間、さらに全体での預金総額が1兆円を突破するという条件があります。
手続きの手間や期間終了後の金利を考えると、メインバンクを無理に変更するメリットは薄いと言わざるを得ません。
既存の住信SBIネット銀行(Sumishin SBI Net Bank)や楽天銀行といった利便性の高い銀行を使い続ける方が、タイパ(タイムパフォーマンス)の観点からも優れています。
最後に、「残クレでマイホーム」という新たな住宅購入手法についても警鐘を鳴らします。
これは将来の売却価格(残価)を据え置いて、残りの金額を分割で支払う仕組みですが、実際には「借り物」に住んでいる状態に近く、住み続けるには数十年後に多額の再ローンや一括支払いが必要になります。
マイホームの魅力である「自由」や「資産性」を著しく損なうため、住宅は適切な予算内で通常のローンを組んで購入するか、賃貸を選択するのが健全です。
表面的な支払額の低さに騙されず、5つの力(貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う)をバランスよく磨き、真の自由を目指しましょう。


