新NISA (ニーサ) の開始以来、多くの投資家が直面しているのが「一括投資」と「積立投資」のどちらを選ぶべきかという問いです。
結論から述べれば、2024年のように相場が好調な局面では、年初に一括投資を行った方が、時間をかけて積み立てるよりも遥かに大きな利益を生んでいます。
バンクアカデミー管理人の小林亮平 (Ryohei Kobayashi) 氏の実績によれば、自身が SBI証券 で eMAXIS Slim (イーマクシス・スリム) 米国株式 (S&P500) に月30万円ずつ積み立てた結果、6ヶ月で元本180万円に対し +10.91% (約19.6万円) の利益でした。
一方、同氏の父が 楽天証券 で年初に360万円を一括投資した結果は、+25% (約90.1万円) という圧倒的な差がついています。
一括投資の最大のメリットは、資産が長期的に右肩上がりであることを前提とすれば、「価格が安い初期段階で、より多くの口数を購入できる」点にあります。
特に直近1年の S&P500 のパフォーマンスは +40% を超える驚異的な伸びを見せており、このような上昇相場では、後から高く買い増していく積立投資は不利に働きます。
しかし、一括投資には「購入直後に暴落が起きた際の精神的ダメージが大きい」「投入タイミングの判断が難しい」というデメリットも存在します。
対する積立投資のメリットは、価格が下がった際に自動的に多くの口数を買える「ドル・コスト平均法」が働く点です。
暴落が起きても「安く買えるチャンス」と捉えることができ、心理的な安定を保ちやすいのが特徴です。

ただし、注意すべきは「積立はリスク分散ではない」という点です。
積立を続けるほど投資元本は増えていくため、運用後半になればなるほど市場価格の変動が資産全体に与える影響、すなわちリスクの絶対額は大きくなります。
積立投資はあくまで「リスク(値動きの幅)を少しずつ増加させる買い方」であることを理解しておく必要があります。
具体的なシミュレーションで比較してみましょう。
2003年から S&P500 に投資を開始し、「年360万円を5年間で一括(合計1800万円)」投資した場合と、「年120万円を15年間で積立(合計1800万円)」投資した場合を比較します。
6年目にリーマンショックという歴史的な暴落が発生したと仮定しても、最終的な合計購入口数は、5年一括の方が15年積立よりも多くなりました。
これは、暴落前に市場が上昇していたため、積立期間の後半には既に取得価格が高くなってしまっていたことが要因です。
米国株や全世界株のように長期で成長が期待できる資産では、手元に資金があるなら「早く、多く」投じるのが理論的な最適解となります。
日世基礎研究所 (Nissei Basic Research Institute) のデータもこの理論を裏付けています。

1989年から2024年までの期間で、 NASDAQ100 (ナスダック100)、 S&P500、先進国株式、全世界株式などの各資産クラスを比較したところ、10年および20年の投資期間のいずれにおいても、一括投資の平均リターンは積立投資を大幅に上回りました。
例えば NASDAQ100 では、10年積立の平均リターンが約2倍だったのに対し、一括投資は約3.4倍に達しています。
日本株や外国債券といった他の資産クラスにおいても、同様に一括投資の方が有利な結果が出ています。
それにも関わらず、なぜ全員に一括投資を勧めないのでしょうか? それは「理論と感情は別物」だからです。
もし一括投資した直後に30%〜50%の暴落が起きた際、耐えきれずに売却(狼狽売り)してしまえば、そこですべての投資計画は破綻します。
一方で、積立投資であれば「今は安く仕込めている時期だ」と自分を納得させやすく、市場に居座り続けることが容易になります。
投資において最も重要なのは、一時的なリターンの最大化ではなく、市場から退場せずに何十年も継続することです。
自身の余剰資金と、どれだけの損失に耐えられるかという「リスク許容度」を冷静に見極め、自分にとって「夜ぐっすり眠れる」方法を選択することが大切です。


